ITOと玄界の相違点
最終更新日:2024年6月27日計算機構成
ITOと玄界では、計算ノードの数や構成が大きく変わっています。 実行するプログラムの並列度や使用メモリ量に合わせて適切に資源量を選択してください。
ITOと玄界のバックエンドノード群の主な相違点は以下の通りです。
- ITOサブシステムA vs 玄界ノードグループA
項目 ITO A 玄界 A 比率 ノード数 2000 1024 0.51 ノード内コア数 36 120 3.3 ノード内計算性能
(SPEC CPU2017 FP Rate)200 1040 5.2 メモリ量 192GB 512GB 2.7 - ITOサブシステムB vs 玄界ノードグループB
項目 ITO B 玄界 B 比率 ノード数 128 38 0.29 ノード内合計GPU性能 (FP64) 21.2TF 134TF 6.3 メモリ量 384GB 1TB 2.7
このように玄界のバックエンドノードは、 ノード当たりの性能やメモリ量がITOよりも 2.7~6.3倍程度向上していますが、 全体のノード数が大幅に減っています。 そのため、ITOと同じノード数を使用する場合、計算資源が無駄になったり、 実行開始までの待ち時間が長くなったりする可能性があります。
利用申請および契約内容変更の方法
利用申請時や契約内容の変更時に、ITOでは申請書を印刷して郵送して頂いていましたが、 玄界では基本的にWebブラウザ上で申請と変更が行えます。 利用申請や変更の方法は以下を参照してください。
利用負担金
ITOではすべての利用負担金を月額定額制としていましたが、 玄界では計算ノードの共有利用を従量課金制とします。 固定利用、ストレージの利用負担金については、玄界でも月額定額制です。
また、玄界では利用申請1件ごとに月額130円の基本負担金をお支払いいただきます。 この基本負担金には、1TBの大規模ストレージの利用権が含まれます。
利用負担金についての詳細は以下を参照してください。
ログインノード
玄界のログインノードのアドレスとして、以下を指定してください。
|
ログインノードでは、1プロセス当たりのメモリ使用量の上限を 24GBとしています。
ユーザ、グループの扱い
玄界では、ユーザアカウントをすべて新規に作成します。 そのため、現在ITOでお使いのユーザアカウントは利用できません。
また玄界では、一つのユーザアカウントが所属できるグループを一つに限定します。 ITOでは、一人で複数のプロジェクトに参加する場合などに、 一つのユーザアカウントが複数のグループに所属する設定とし、 newgrpコマンドでグループを切り替えながら使用して頂いておりました。 しかしこの方法では、終了したプロジェクトと継続中のプロジェクトのファイルが同じホームディレクトリに混在する、 など、プロジェクトごとのファイル管理が困難でした。
そこで玄界では、一人で複数のプロジェクトに参加する場合、 それぞれのプロジェクトについて別のユーザアカウントを発行します。 それにともない、複数のプロジェクトで同じファイルやディレクトリを参照するための手段として setfaclコマンドを使用します。これは、自分が所有する任意のファイルやディレクトリに対して、 他の任意のユーザによるアクセス権を自由に設定するものです。
ユーザ間でのファイルの共有方法については、以下を参照してください。
ストレージ
玄界では、ホームディレクトリを置く大容量ストレージの他に、 SSDで構成された高速ストレージが利用できます。 ストレージの利用方法については、以下を参照してください。
新たに利用可能となったソフトウェア
玄界では、新たに以下のソフトウェアを導入しております。
-
計算化学
-
機械学習
-
Webブラウザによる利用インタフェース
-
ワークフロー
-
クラウド連携インタフェース
AWS CLI, AWS parallel cluster, Azure CLI, Azure CycleCloud, Google Cloud CLI, Oracle CLI
利用が制限されるソフトウェア
ITOで提供していたソフトウェアのうち一部について、 玄界では以下の通り制限させて頂きます。
-
SAS
ライセンス持ち込み形式での利用となります。利用を希望される方は以下にご相談ください。
問い合わせ先 -
ANSYS
ライセンス規約上、全国共同利用計算機での提供が困難なことから、提供を停止します。
-
MSC製品
Marc/Mentat/Nastran/PatranなどのMSC製品に関する利用は、玄界の計算ノード及びログインノードでのみの利用となりま す。ITOで可能だった外部PC等にインストールしたMSC製品からの利用は、玄界ではできません。また、玄界ではリモートでのGUI起動も不可となりま す。
module
コマンド
ITOでは、以下のコマンドにより、モジュール間の依存関係によらず、利用可能なすべてのモジュールを表示できました。
|
一方、玄界では、その時点でロードすることが可能なモジュールしか表示されません。
例えば intel
というモジュールに依存しているモジュールは、
intel
モジュールをロードすることで、module avail
コマンドの結果に表示されるようになります。
ITOでコンパイルしたプログラム
玄界の性能を最大限に発揮するため、ITOでコンパイルしたプログラムについては玄界のコンパイラで再度コンパイルすることを推奨します。 なお、玄界は CPU、GPUともITOとアーキテクチャの互換性がありますが、使用しているライブラリ等の状況によっては再度コンパイルしなければ実行できない場合もあります。
ITOのジョブスクリプト
玄界はITOと同じ富士通 Technical Computing Suiteのジョブスケジューラを利用しているので、 ジョブスクリプトの記述方法は ITOの時と大きな変更はありません。
ただし、少なくとも以下の事項について修正が必要となります。
- ITOで必要だった
-L rscunit
によるリソースユニットの指定は玄界では不要である。 -L rscgrp
で指定するリソースグループは ITOと玄界で異なる。- ジョブスクリプト内でモジュールをロードしている場合、モジュール名がITOと玄界で異なる場合が多い。
対話型利用
玄界では、ITOの基本フロントエンドノードや大容量フロントエンドノードの代わりに、 対話型ジョブを予約して利用可能です。(ジョブ利用)
また、Open OnDemandを用いることでWebブラウザを介した対話型利用も可能です。(Open OnDemand)
ユーザ名が正しく表示されない
玄界では、psや topなどの一部のコマンドで表示されるユーザ名が、ku40000+のように、末尾を +に置き換えたものになります。 これは、玄界のユーザ名の長さが10であるのに対し、これらのコマンドがデフォルトではユーザ名を長さ 8で表示するためです。 このようなコマンドでユーザ名を正しく表示するには、追加のオプションや操作が必要となります。以下に psコマンドと topコマンドでの例を示します。
- psコマンド
-
出力のフォーマットで
user:10
を指定することによりユーザ名の長さを10文字に広げて表示できます。 例えば以下のコマンドにより、現在実行中の全てのプロセスの情報を正しいユーザ名で表示します。
もしこのコマンドを頻繁に実行する場合は、ホームディレクトリの .bashrcファイルに以下のような aliasコマンドを追加することで、このコマンドに例えば pswのような新しい名前を付けることが出来ます。$ ps -eo user:10,pid,ppid,c,stime,tty,time,cmd
$ alias psw='ps -eo user:10,pid,ppid,c,stime,tty,time,cmd'
- topコマンド
-
topコマンドを起動した後、キーボードの
X
(大文字)を押し、さらに-1
を入力すると、ユーザ名の長さが自動的に調節されて正しく表示されるようになります。